2013年 01月 23日
番外編:ブラックマーリン on BAIT
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ケアンズ周辺で狙われるグランダー(1000lb以上のマーリン)が有名だけど
今回はそういうお話ではありません。。。
大きさ、重さ、槍のような吻、そしてそのファイト。
どれを取っても文句なしの魚・・・
なんだけど、実はつい最近までマーリン釣りにはほとんど興味が無かった。
クルーザーでのトローリング、ファイティングチェアーに
船長、デッキハンド達とのチームワーク、
釣り人のする事といえば、指示に従って巻くだけ? みたいな、
ビールとオツマミ片手に談話しつつ魚がかかるまで待つ、
そんな優雅な時間を過ごす王様のような釣り・・・
心のどこかでいつかはとは思っていたけど、
まだまだ若い僕(経済的にもw)には似合わない釣り。
ところが、12月下旬に釣仲間からマーリンキャッチ情報舞い込んできた。
それも 4mのボート から。
釣り方はライブベイトでドリフトという一風変わった?釣り方だったけど、
ベイト集めからランディングまでのすべての過程を自分でやるスタイルが気に入った。
それに一番ワクワクさせられたのは、
4mの小型ボートにマーリンというアンバランス組み合わせだった。
この時期に小型ボートで狙えるマーリンは小型(15~30kg)が多く、
チャレンジ!!とも言いがたいサイズだけど、
もしかしたら50kg、100kgUPが来るかもしれないというアングラー’sドリームを搔き立てる。
だってターゲットはマーリンなのだ。
マーリンを釣った粋な釣仲間のT氏に事情聴取を繰り返し、楽しい妄想の日々を過ごし
準備万端で
この日のウネリは1.5m~1.8m、たまに前後が見えなくなる高さのウネリあり。。。
オフショアの波はベイとは全然違うという事を事前にT君に説明しておいたが、
「僕、ウインドサーフィンしてたし、船酔いしませんから大丈夫です!」
と、ニヤリ余裕でいた彼のウネリにビビッた横顔が忘れられないw
4mのボートでこのウネリ、マーリンを釣る前からなかなかのスリルが味わえる。
徐行にてベイト捕獲地点へ到着し、さっそく試してみるが
ベイトが簡単にキャッチできない・・・
他の5m~大きな漁船も近くでベイトを取っているのが見える
同じようにやってみるけど、シーン。。。
ようやくベイトが10匹取れた時、沈黙気味だったT君に突然ファーストインパクトが訪れる。
「Yoshi…SORRY…」と振り絞った言葉を残し、「グ、ボオオーーォーー、ガハっ・・・」
陸で見せていた余裕の表情は消え去り、
ウインドサーフィン云々は過去のモノへと変わった瞬間だったw
せっかくT君がコーヒー味の撒き餌を流してくれたが、
餌も十分取れたことだしマーリングラウンドへと移動した。
大きなサークルフックに生き餌を付ける。
欲張りにも竿を2本ほどだし、生き餌も元気よく泳いでいった。
さあ、後は待つのみだ!
生き餌を流して揺られ続ける事1時間。遠くにはカツオのナブラが見える。
派手なスプラッシュとギラリと光るシルバーが誘惑する。。。
でも、今日はマーリン!! と決めていたので我慢我慢。
この日はカツオの当たり日だったらしく、すぐにナブラ祭りが始まった。
日頃の行いがよい僕らのボート周りでも祭りは始まり、
T君に27gのアンチョビジグとロッドを渡す。
そして、T君のフルキャスト! スボッ!!! ボートから1m地点に即着地w
さすが素人w しかし興奮収まらないT君、速攻2投目 ズドン!! また即着地キタ。。。
貸しているタックルを壊されてもたまらんので、
オッちゃん(僕)に貸してみんさい、と颯爽とロッドを奪いロングキャスト、そしてヒット。
ひん曲がるロッドをT君に渡し、僕はフライの準備。
カツオのパワーに何度か伸されながら、T君が無事ランディングに成功したころ、
やっとボイルがフライのキャスト圏内へと入った。
結んだのはポーラーファイバーピンクとEPスパークルで作った、
なんとも艶かしい動きをするフライ。自信満々だったのだけど、、、完全無視
リトリーブ速度なのかサイズなのか、何度もナブラの中、外へ入れるがシーン。
後ろではT君が釣ったカツオとジャレている。
ナブラはボート脇を徐々に北上し、離れていく・・・まずいゾ。
T君はカツオをクーラーボックスに入れた後、魚と血の臭いでセカンドインパクト発生。
彼に「大丈夫?」と気遣う余裕も無いほど焦る僕はすぐさまフライをフローティングマイラーチューブ(イワイミノーみたいなやつ)へと代え、数投目でついにヒット。
グンッとキタ後、未だかつて無いくらいの速さでノーチラスが逆転する。
そしてガッツポーズを決めた瞬間・・・腐っとテンションが無くなった。
またもやスコットS4s #10に入魂ならず。
まぁ今日はマーリンさぁ~・・・前向き前向き。
祭りは過ぎ去り、遠くのカツオナブラを見つめつつまた揺られる事1時間。
正直もうマーリンコースから外れている事はわかっているけど、
船酔いしている僕ら2人は動きたくもなく、ただただ波に揺られていた。
もうベイトを流してから2時間以上経っている、
フとボート後ろを見ると、どこかで見た様な小さな魚が2匹プロペラのすぐ後ろでくつろいでいる。
ん? どこかで見たような・・・
船酔いによりいつもより冴えない頭がゆっくりと動き、血の気が引いた。
恐る恐るラインを巻き取ってみると・・・
ギャッーーーーーーー!!
絡まったラインをほどく事などアウトofクエスチョンであり、
船酔い中でのラインシステム組み直し、これ以上の拷問が釣りにあるだろうか!?
ゲップを数回しつつ、ノットを組む。ぐったりとしていたT君にはサードインパクトが強襲。
僕も誘発を起こしそうだったけど、遠くの陸を見て回避、うう陸が恋しい・・・
20分以上かけやっと出来上がったノット。もちろんロッドは1本だけで再挑戦。
またマーリングラウンドへと移動、やっと安心したのも束の間、
緊張の糸が切れたのか、ノットダメージがジワリとキタのか、ノド~クチの感覚が無・・・
僕、ファーストインパクト発生orz
溢れ出す地獄の苦しみと呼吸困難、鼻から流れ出る液体を拭く力も無く、グッタリ。
でも数分後ちょっとスッキリw
カツオは相変わらず狂ったようにボイルしている。
たまにルアーのキャスティング圏内に入るけど、移動が速くなかなか捕らえられず。
船酔いしているのにT君はブラインドキャストを繰り返す、
そしてナブラ無しでも3ヒット、1キャッチ、1インパクトw。根性の素人アングラーT
また波に揺られる事数時間、途中昼寝も30分ほど、ライブベイトには異常なし。
カツオのナブラは相変わらずだし、せめてボウズは脱出したい・・・
カツオ狙いに変更~♪
朝からつづくウネリの中を徐行し、カツオのナブラへアプローチ。
すぐさまT君はヒット、僕はナブラがフライ射程距離内に入るのを待つ。
T君はまたキャッチ&インパクトを繰り返し、やっとナブラが射程距離に入るかなっと、
その時!! ハァハァ言いながらTが呟いた
「Yoshi、竿がしなってるよ」
ほわっと? ナブラはすでにフライ射程距離でボコボコ。
しかし、GT用ベイトロッドは確かにしなっていた。
カツオを諦め、速攻で巻いて見る。
グングンとしなるティップ、思っていたよりも引かない。
カツオでもかかったんじゃ・・・心配になって来た時、海が弾けた。
鋭く尖がった吻、シルバーボディに黒い背中、薄っすらとブルーがかった魚体が暴れる。
マーーーリンンンッ―――、キターーーーーッ!!
思わず巻くスピードにも力が入る。
たぶんGTロッドにカルカッタ800だったからだろう。。。
あっという間に、ボート際w
でも、そっからがヤバかった。ボートを見た後、狂ったように吻を振り回してエラ洗い。
そしてジャンプ、ジャンプ。
ボート際で繰り広げられるマーリンショー、マーリンとしては大きくは無いものの
釣りの対象魚としては大型の部類、やっぱり迫力満々。
とにかく跳ねるのが大好きなマーリン、うち一回はボートを飛び越えちゃうんじゃないか?
と思えるくらいのスーパージャンプを披露。ちょっとビビルうちら。
跳ねると疲れるのはどの魚種も同じようで、ボート下で水を掴んで重くなるマーリン。
ここで休ませるとファイトが長くなる、そう判断した僕は、フルパワーでポンピング。
GTロッドはまだバット部から曲がらなかったけど、マーリンは浮いてきた。
少しぐったりしているけど、まだまだ小ジャンプ、エラ洗いはコンスタントにするマーリン、
派手なくせに粘るファイトを見せ付ける、子供ながらにさすが海の王者。
ウネリに揺られながら跳ね回り、鋭い吻を振り回すマーリンを手づかみする。
このスリルが4mボートからの一番の醍醐味かもしれない。
とにかく、吻の行き先には気をつけなければならない。
ウネリのタイミングと、魚の動きに注意してリーダーを手繰り寄せる。
最後に猛ダッシュされて、あやうく手がラインに巻き込まれそうだったけど
なんとか寄せてガッチリ吻をキャッチ!!
嬉しさMAX、感動というよりも必死だった。
だってキャッチされてからのたうちまわるマーリンを押さえつけるのは結構大変なんだもん。
幸運?にも吻は荒い紙やすり(魚側に向いている)のような突起物に覆われていて
とても掴みやすい。でも、もしこれが刺さったら・・・抜くことは大変困難だな。ガクブル。。。
ボート上にあげ、写真を撮った後のマーリンはリリースできる状態ではなく、
初魚種だし食べてみたいと思っていた僕はキープした。
僕のマーリン写真を6度目のインパクトを受けつつも撮ってくれたT君にサンキューし、
集中力が切れた僕も2度目のインパクトで生気が抜け、帰路についた。
マーリンは思ったよりも捌きやすく、あっという間に身だけになった。
大量の身は僕だけでは消費できず、仲間達にお裾分けし、皆も喜んでくれた。
ただ美味しかったかと聞かれれば、答えはNOであり
次回はリリースできるよう心がけたい。
4mのボートからマーリンを狙える環境、釣り方と面白さをシェアしてくれた釣り仲間に感謝。
今年の目標は「ぶるーうぉーたーに挑む」どこまでブルーウォーターの魚が相手をしてくれるかわかないけど、
天気が許す限り、大海原へと向かおうと思います。
ワクワク
by flyfishing_aus
| 2013-01-23 10:33
| ブラックマーリンBlackMarlin